人気アニメ『ワンピース』を題材にした歌舞伎『スーパー歌舞伎2(セカンド)ワンピース』は刺激的なエンターテインメントだった。

【画像】開演前に並ぶひとたち。連日、1万円を超えるチケットはほぼ売り切れ状態の満員御礼。
スーパー歌舞伎2『ワンピース』は刺激的だった
スーパー歌舞伎2『ワンピース』は刺激的だった

いまや誰もが知っている人気アニメ『ワンピース』を題材にした歌舞伎『スーパー歌舞伎セカンド・ワンピース』が2015年10月7日から11月25日迄、東京の新橋演舞場で公演された。演出とルフィ&ハンコック&シャンクスの3役を務めたのは、市川猿之助さんだ。累計発行部数3億2000万部を誇る『ワンピース』が歌舞伎化、その中心人物が4代目市川猿之助さんということだ。今回の歌舞伎の舞台になるのは、原作のシャボンディー諸島で麦わらの一味が黄猿やバーソロミュー・クマとの戦いに敗戦してから、マリンフォードの頂上戦争でエースを救出するところまでだ。歌舞伎の構成としては、約1時間の1幕が3つあり、休憩時間を入れると約4時間半の公演となる。最初は、公演時間は2時間程度だと思って、仕事の合間に行けそうな夕方の部を予約したのだが、約1時間の1幕にて帰ることになってしまった。この時は、残り2幕もワンピースファンとして見なければという使命感もあり、当日、別の日の公演を予約したのだが、結局、東京公演の期間中に3回も観にいった。

本題の歌舞伎の内容だが、これから大阪公演や九州公演も予定されているので、ネタバレの内容はやめて、開始から最後までのテンションの変化ということで書きたい。

まず、第1幕はテンションはイマイチだった。普段、歌舞伎に馴染みのないワンピースファンも多いし、歌舞伎は観るけどワンピースは知らないという中高年世代が同じ空間にいて、演じる方も手探り、2つの属性の観客も手探りというみつどもえのような雰囲気が場内にはあった。原作ファンは、「歌舞伎化」した新たなワンピースと原作との間違い探し、とかく、原作のキャラクターにキャストが合っているか、似ているかという視点で注目した。一方、歌舞伎の常連客は、舞台に流れる原作のあらすじ、多い登場キャラクター等、そもそもワンピースでなんの話?というところから入っているので、今ひとつ、ストーリーや登場人物を把握しきれず舞台を見ているという印象だった。ただ、徐々に、歌舞伎役者の演技や舞台の雰囲気に、観客も惹きこまれはじめて終わるというのが第1幕だった。
第2幕は、ネタバレになるので詳しくは書かないが、テンションはマックスになる。ポイントは3つある。ひとつは歌舞伎役者の演技が凄い上に、体力も凄いことがわかる。ふたつ目は原作では脇役だったキャラクターが、きっと歌舞伎界では有名な役者が演じて、ストーリーはさておき、主役級のキャラクターへ変身する様に釘づけになることだ。そして3つ目は、予想以上の舞台演出に驚かれたことだ。舞台演出なので、もしかしたら新橋演舞場以外の舞台では演出が変わるかもしれないが、これは観客から大きな歓声が上がっていた。
第3幕は、原作のマリンフォード戦争だが、第2幕がテンションマックだったので、第3幕のストーリー展開や舞台演出が第2幕と比べると弱かった。
大雑把に、全3幕の印象を語ると以上のようなレビューになる。

今回の歌舞伎と原作アニメ(コミック)との違いをまとめるとつぎの通りだ。ただし、この違いは個人的なワンピースファンの視点だ。

  • ルフィ(市川猿之助)は原作の程の必死な救出劇はしない。
  • なぜか黒ひげ海賊団の面々がピックアップされている。
  • 白ひげが弱い。
  • レイリーに冥王の面影がない。

原作ファンとしては、どうしても間違い探しのようなところに目が行ってしまうが、それでも今回のスーパー歌舞伎2は刺激的だった。今年の夏にユニバーサルスタジオで公演していたワンピースのような期待感を持っていくと、もしかしたらがっかりするひとも多いかもしれないが、歌舞伎の世界でどのようにワンピースを演じるか、という気持ちで鑑賞するといいかもしれない。後編では、スーパー歌舞伎2の楽しみ方を紹介する。